心に巣くうゴジラの雄叫び

いのちの賛歌　（自らの人生を切り拓いた8人の物語）　　神渡　良平　氏　　　致知出版社

第1章の　内観によって蘇った命　の内容に感動し是非ご紹介したいと思います。

名古屋の実業家T・Hさんは半端でない幼少期を送りました。一時は裏街道まっしぐらでしたが

内観によって自分を取り戻し、実業家として見事に転身されました。自分自身辛い青年期を

経たので、今は若い経営者たちに的確なアドバイスをしておられます。

T・Hさんのお母さんは17歳でT・Hさんを産みましたが、結婚は9か月後に破たん、その後

女で一つで育てられる。そして小5の時、突然祖母に預けられ母は去っていく。

その日以来T・Hさんの感情は消えてしまい、捨て鉢になり、ありとあらゆる悪さをし、

非行少年の仲間入に入りました。周りの生徒をカツアゲし、先生を殴り、手も付けられない

ほど荒れ狂いました。心の中はいつも

「ママ、どうして僕を連れて行ってくれなかった」

という叫びがリフレインしていました。自分の境遇を嘆いてため息ばかり出ます。T・Hさんの

悪行はひどくなるばかり。肩をいからせて繁華街をのし歩き、背中には刺青を入れて粋がり、

裏街道をひた走りました。ドスを振りかざして渡り合い、やくざにピストルを突き付けられた

ことも一度や二度ではありません。

そのうちに、こんなことばかりやっていても意味がない、それよりもひとかどの実業家に

なり、自分を捨てて行った母親から、

「T・H！　あんたは凄いね。こんなにビッグになったの！」

とほめてもらいたい一心で、まじめに働きだしました。

22歳で独立、25歳で2歳年上の女性と結婚するが、奥さんはT・Hさんに頼りがいのある父親

をもとめ、一方T・Hさんは、自分を捨てていった母親の傷を埋めてくれる愛を求めるので、

次第にすれ違ってしまいました。夫婦げんかも度重なり、ある夜警察沙汰になり二人は

引き離され、子供は児童相談所に預けられ、36歳で離婚する。

「温かい家庭を築きたい、優しい夫でありたいと思っているのに、現実は反対の方向に進んで

しまうんです。いったい何が俺を狂わせてしまったのか。これから先、どう生きていったら

いいのか、全くわからなくなり、暗澹たる気持ちでした。自分の中に手に負えないゴジラが

巣くっていました。それが暴れだすと手がつけられなくなるんです」

そんな中からT・Hさんはある紹介者から、劇的な方法で母そして父とも和解でき会社の売り

上げ10倍になり、現在一企業の経営という次元を超えて、これまでとは違った側面から

社会貢献できる道を探し求めていらっしゃるそうです。

その激的な方法とは、自分自身を見つめる「内観」というやり方です。

詳しくは是非「いのちの賛歌」をご一読頂ければと思います。

私も個人的に、若い頃父との葛藤があり、ぎくしゃくしていた時期がありました。

仲直りしないうちにがんで50代で無くなってしまいましたが、ある内観の方法で

自分の愚かさと間違いに気づき、大いに反省させられました。涙をボロボロこぼしながら、

あの世の父にお詫びし許して貰えたかなと思う経験を20代の後半でしております。

心と体がずいぶん軽くなり、母に対しても以前より優しく接する事が出来るようになりました。

「心に巣くうゴジラの雄叫び」をなくす比較的簡単な方法としては、自分と両親との思いを

5年単位に分けて反省してみると良いかもしれません。

いわゆる　「愛の貸借対照表」とでも言いましょうか？

自分が親に対してしてあげた事と、両親からして頂いたことを思い出す限り、紙に書いてみる

方法です。

多少なりとも家族関係が改善し、お役に立てれば幸いです。

そして、子供たちに対し「誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ」「感謝しろ」

とかいうのは禁句です。

愛情いっぱい十数年育ててきても、そのたった一言で親としての尊敬は無くなります。

営業2課　　佐藤　晃　でした

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