好きの反対は？

「好きの反対は嫌いではない。好きの反対は、無関心である。」

この格言は的を得ていると思います。

会社において、最も危険なのは「対立」ではなく「無関心」だからです。

他のメンバーの仕事になど関心がない、どうなろうと自分の仕事さえ良ければ気にしないなど、いわば、会社でともに働くメンバーに対して「好き」も「嫌い」もない人。そういった人物が増えると、組織は危機に陥ります。

★自利から利他へ

人間性は「人間らしさ」といってもいい。これを「人間だけが持っている心」とすれば、「他人の幸せを思う心と行動」こそ「人間らしさ」の根底にあるものを考えられる。

親子関係を別にすれば、犬や猫が仲間の世話をしたり、自分が犠牲になって弱い仲間を助けるという話はあまり聞かない。

心が未成熟なほど自己中心であり、反対に成熟するにつれて全体の中の自分を考えるようになる。

画像の図はこのことを示している。

すなわち、上へ行くほど「他人のため」という思い、いわゆる「利他の心」が高まる。

人は一人では生きて行けない、多くの人のおかげさまで生かされていることが分かるから、他人を「思いやる」「協力する」「助ける」「他人の喜びをわが喜びとする」という心になる。

反対に、下に行くほど「自分のため」の思いが強くなる。

これは「自利の心」で、「自分中心」「妬む・恨む」「他人を騙して自分が得をする」など自分を優先する心である。

心が自利に向かうか利他に向かうかの境目は「関心」か「無関心」かにある。

すなわち、物事に関心を持てば理解が深まり、理解が深まれば信用や信頼が高まってくる。

他方、無関心のままであれば理解ができず、いずれ反発・反感から憎悪の念にもなりかねない。

例えば、ホームレスが道端にたむろしていたとしよう。ホームレスの段ボールが道にはみ出していれば通行の邪魔になるから困ったものだと思う。

しかし、この時に「なぜホームレスが増加しているのだろう？」と感心を持ち、調べ、事実を知れば、ホームレス問題を何とか解決したいという心も生まれてくる。

マザー・テレサは「無関心は人類最大の罪」といわれたが、その心を理解したいものである。

他人のため社会のために役に立つことが人間の人間たる所以であり、こうした心が人を惹きつけて止まない人間力の源となる。

これを突き詰めていけば、人間性とは「徳の高さ」を表しているといっていい。

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